2020年2月頃から新型コロナウイルス感染防止対策として、テレワークが推進されてきました。しかし、中小企業ではそもそもテレワークの想定やテレワークを安全かつ合理的に実行する為の知見を持ち合わせていることも多くはないでしょう。そこで、テレワークを行う際の味方としてVPNルータがあります。これは、テレワークの難易度を下げてくれることで注目を集めています。
しかし、実態としては、接続が遅いことや、そもそも繋がらないことなどの声が挙がっています。そこで、今回は、なぜそのようなことが起こっているのか、また、その原因を検証していきます。
テレワークに使うVPNが遅い場合
まず、VPNとはVirtual Private Network(バーチャルプライベートネットワーク)の略です。そして、頭文字を取り「VPN」と呼ばれています。VPNは、原則として、インターネットを介して仮想的に手元に社内ネットワークが整備されているような環境を構築することができるということです。また通信に関しては、暗号化されており、比較的安全な環境でリモートアクセスが可能ということです。
また、VPNを使用してインターネットを利用すると通信速度が遅くなる場合があります。それは、公衆の回線を使い接続しているためです。通信速度は他の利用者数や処理情報によっても変化しますが、放置しておくと作業が滞る可能性があり、デメリットと言わざるを得ません。
当然、導入した機能を活用できなければ、その際に発生した投入コストが無駄になってしまうでしょう。VPNには様々な機能があるため、用途などを十分吟味し、選択すべきでしょう。そして、多種多様な機能が備わっているVPNほど、費用も相対的に高額になります。機能数が多いから選ぶという考え方ではなく、必要な機能が備わっているか否かは最も重視すべきと考えます。
テレワークによりVPNの接続許容量・帯域が不足
その最たる内容と言えるのが通信速度でしょう。全てにおいて作業が滞るのは一定程度までは許容できますが、逼迫した納期や業務過多となった時期に使用するのは不安要素と言えます。考えられる背景として、2020年2月頃から一気にテレワークが導入され、許容度が追いついていないものと推察します。翌月(2020年3月)頃からはリソースにも余裕が出てきてきましたが、4月の緊急事態宣言を契機として多くの企業が見切り発車的にテレワークを導入しました。そこで、手元のVPNの許容度を無視した使用により、再び2月と同様の状態になったと言えるでしょう。そして、VPNの製造元としても労働者の休業体制を組み、十分なフォローアップができたとは言えず、混乱が長期化したと考えます。
VPNの初期設定やハードウェアの導入自体も大変
前提知識としてVPNで接続するとは、目の前のPCに対してLANケーブルを使用し、社内のLANに接続するイメージです。また、今回のような長期の在宅勤務の場合、各種設定等によって、それだけでも相当の時間を消費する点は想像に難しくないでしょう。
テレワーク時にVPNが繋がらない
テレワークにはリモートデスクトップよりもVPNが使われていますが、特に接続性の問題が大きな懸念になっています。下記ではVPNに繋がらない場合の原因をまとめて説明しています。
パスワードのスペルミス
繋がりにくい以前にそもそも繋がらない場合もあります。その場合、まずは、初歩的なミスが起きていないかを確認すべきです。中でもパスワードのスペルミス(大文字・小文字)は最初に確認すべきです。次にパスワードの有効期限が切れている場合です。
VPNサーバーへの接続許容量
次にVPNサーバーに同時に接続可能な許容量を確認すべきです。それを超えるアクセスがあると許容度を超え、エラーとなり接続できないということです。許容度を除くと次はそもそもサーバーがダウンしているということもありえます。
そして、そもそも繋がらない場合は、時間を空けて再度試してみることです。許容量オーバーの場合は他の方が接続を解除することによりその分の空きがでますので、接続が可能となることもあるでしょう。すなわち、込み合うことが予想される時間帯にアクセス=繋がらない可能性が高いとも言えます。
しかし、接続先を変えても、繋がらない場合は、IT部門に問い合わせをするべきです。
VPNサーバーの稼働状況
サーバーの許容度を超えている場合やサーバー自体がダウンしている可能性もあります。その場合、IT部門であれば、状況を把握していることが多いので、先方にレクチャーを受けることが肝要でしょう。この場合、自身で悩んでいても解決に至ることは困難です。早期に聞くことでサンクコストを抑えることができます。
しかし、IT部門であっても、社会的に出勤の自粛が要請されていることと、在宅勤務の場合、対応に時間を要することもあるでしょう。よって、最低限、込み合いがよそうされる時間帯を避ける等、問い合わせる時間帯を工夫することが肝要です。問い合わせた結果、改善が見られない場合は、サーバーの増強が可能か否かの確認も必要と言えるでしょう。回線を増設することにより、複数回線分に余裕が生まれた状態で利用することができます。よって、つながらないという発生しても業務が滞ることを防ぐことができます。
VPN自体の接続が遅いというイメージ
VPN接続は一定水準以上のセキュリティ機能は備えているものの一斉に導入した社会的背景などもあり、導入したたが、つながらないという悪いイメージが出てきました。拠点間での接続やリモートアクセス接続を可能にできる点は、在宅勤務と非常に親和性が高く、多くの企業でテレワークに際して最初に導入の対象としています。
VPN自体には特にパフォーマンス上問題がある
しかし、通信量の確保や短期間での拠点間通信などでのパフォーマンスに対して懐疑的な意見も出てきており、かつスムーズな接続をするのは実務上も困難な場合が多いのが現状です。
その為に、他の選択肢や、導入した場合の対策を共有しておくことは自社の生産性の確保や使用する際のストレスの緩和としても重要な論点です。また、導入に際しての費用(例えばどこまで企業が負担するのか)は無視できない部分です。備えている機能と費用を比較検討し、どこまでのパフォーマンスを求めるのかも含めて、導入すべきでしょう。
また、VPN自体の遅延に問題がある場合はゼロトラストネットワークへの移行を検討しましょう。ZTNAと呼ばれるこの仕組みはVPNのパフォーマンスだけでなく、VPNのセキュリティ上の課題についても解決してくれます。